
根管治療
根管治療
根管治療とは、歯の根(根管)の中で細菌に感染した部分を除去し、根管内を十分に殺菌・洗浄したのち、再び細菌感染を起こさないように防腐剤を充填して根管を封鎖する治療のことを言います。
根管は人それぞれ形態や本数が異なり、根の先が分岐していたりと非常に複雑で入り組んだ形をしているため、歯科治療の中でも根管治療は精密さが求められる治療の一つです。
根管治療が必要なケースには、生きている歯髄(神経)が炎症を起こしている場合と、死んでしまった歯髄が腐り、細菌が根管を超えて骨の中まで炎症が進んでしまった場合があります。
いずれの場合も治療方法は大きく変わりませんが、治療期間や治療の成功率は大きく違います。
生きている神経をむし歯が深いために取り除く場合(抜髄)は2〜5回程度で終わり、成功率は80〜90%と高いです。
神経が感染を起こして膿が溜まってしまっている場合(感染根管治療)は5〜8回程度かかり、成功率は70〜80%と10%ほど下がってしまいます。
さらに、一度根管治療を行った歯が再感染を起こしてしまった場合の治療は数ヶ月かかることもあり、成功率は20〜60%(歯の場所、根の数により変わります)とかなり低くなります。
中には難治性と呼ばれる根管治療のみでは治せないケースも存在します。具体的には、石灰化などが原因で根管が閉塞しているケースや、根管にヒビが入っていたり、穴が開いているケースがあります。肉眼で治療を続けることが難しいと判断した場合は歯根端切除術という手術や、やむを得ず抜歯を選択することもございます。
通常のむし歯治療の場合は、むし歯部分を削ったあとに金属やレジン(プラスチック)、セラミックなどの詰め物・被せ物をして終了です。
しかし、むし歯が歯の神経(歯髄)にまで達していた場合や、歯の根が病気になってしまった場合は、神経が細菌に感染してしまっているため根管治療によって汚染された神経を取らなければなりません。
歯髄は神経や血管を介して歯に栄養を届ける役目を担っており、歯髄を失うと歯が弱って寿命が半分以下になるリスクを高めてしまいます。これがむし歯の早期発見・早期治療が大切だと言われている理由の一つです。中には難治性と呼ばれる根管治療のみでは治せないケースも存在します。
具体的には、石灰化などが原因で根管が閉塞しているケースや、根管に破折線(ヒビ)があったり、穴が開いているケースがあります。治療を続けることが難しいと判断した場合は歯根端切除術という手術や、やむを得ず抜歯を選択することもございます。
歯の神経の除去
歯の神経を取り除く処置から始めます。
部分麻酔をし、ゴムのマスクをつけ、歯を削る機械を使ってむし歯を除去しつつ、神経の上に被さっている硬い歯質を削ります。
歯質が削れて歯の神経が見えたら、周りに感染を防ぐために壁を作り(隔壁)、針のような特殊な器具を使って神経を取り除きます。神経が取り除かれた歯は空洞になっているので、そこに薬を入れて仮の蓋をし、時間を置いて根管を消毒の流れになります。
麻酔をしているため、ここまでの治療で痛みを感じることはありません。
根管を拡大
神経を取り除いて空洞になった根管を拡大していきます。
拡大した根管を次亜塩素酸を用いて洗浄します。
治療中に出血がなかなか止まらず、噛むと痛みが出たりする場合もあるため根管拡大には数日かかることもあり、根管拡大だけで2~3回通うケースもあります。
根菅の充填
根管の拡大が終わったら、次に根管の充填を施して根管治療は終了です。
根管の充填を行う理由は根管に菌が発生するのを防ぐためです。広げた根管の穴の大きさを測り、根管にぴったり合う根充材を詰めていきます。
根充材でぴったり蓋をしないと隙間に細菌が発生してしまうため、減菌体制の中で慎重な治療が必要となります。
根管治療は時間のかかる治療のため、中長期的に数回にわたって治療を行う必要があります。症例やむし歯の位置、また治療の進み具合によって異なりますが、長ければ10回程かかる場合もあります。
当院の根管治療は、自費診療の場合も保険診療の場合も、ラバーダムシートの使用を徹底しています。理由は、「治療中に歯の根に細菌が侵入してしまうことを防ぐため」「患者様の口の中に小さな器具の誤飲を防ぐ為」です。
全て起こりにくい事象ではありますが、当院では万が一に対して徹底します。
また、ラバーダムシートとは、ゴム製のカバーで治療部分以外の歯を覆う方法で、上記でご説明したように細菌の侵入を防ぎ炎症を予防できるほか、
薬品が粘膜に付着することを防げるなどのメリットもあります。
予後の良い治療のためには、実は歯科医療には欠かせない方法です。
当院では複雑な根管の形態を把握するために3DCTを活用し、より正確な根管治療を行います。2次元のレントゲンではわからない立体的な情報を得ることができます。
根管治療の最後の仕上げとして「根管充填」というものがあり、これは、歯の神経を取ったことにより空洞になった根管内を、緊密に塞ぐことを指します。
この隙間を塞ぐことができなければ、これが原因となり数年が経過した時に再び感染してしまうことがあります。一般的には「ガッタパーチャ」と呼ばれる、ゴムのようなもので隙間を塞ぐのですが、根管内は複雑な構造になっていますので、隙間を残してしまうことがあるため、再治療を行うケースが多いのです。
それに対して、「MTAセメント」と呼ばれるものは隙間を塞ぐことができ、かつ、殺菌作用及び強い接着性、歯の組織を再生させる効果があるため、治療後の経過が非常に良好になります。当院では、根管の高い封鎖性、適合性、歯と一体になる再石灰化性を持つMTAセメントを使用しています。
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